香典返しのカタログギフト讃

これまでにカタログギフトをもらったことが、一度だけあります。
一昨年、親友のお父さんが他界されたときの香典返しがそれです。

初めてのカタログギフト、カタログを開いてみてびっくり。
ほとんどデパートが一軒、丸ごと入っているような品数です。
そのジャンルの広いこと広いこと。
グルメ、産直、食器や台所用品、インテリア、アウトドア用品、ブランド小物、さらには温泉券なんかもあります。
アイロンがあるかと思えば包丁もあります。
昔は包丁は「縁が切れる」と敬遠されていました。
たしかに包丁を贈られたら嫌な気分になると思いますが、こうしたカタログで自分で選ぶのですから、まったく抵抗はありません。
「あり」だなと思いました。

私が居間でカタログを見ていたら、同居している母親が興味を示しました。
母もカタログギフトは未経験。
「香典返しだよ」というと「そういう時代になったんだねえ」と微妙な感想。
ところがページを繰って行くうちに、母の目がランランと輝きだしたのです。
「あらまあ、こんなものまである。これすてきねえ。へー、しゃれたものがあるんだねえ」と、感嘆しきり。
そのようすを見て、私は親孝行してやりたくなって、「おふくろがほしいもの、選んでいいよ」と言いました。
けれど母は、「それはだめ。お葬式に行ったのはおまえで、大事なお友達からのお返しなんだから、私が選んだんじゃご厚意にそむくでしょ。だいいち亡くなったお父さまに失礼よ」。
いわれてみればその通り。
なので私が自分のほしいものを考えて、結局、Leeの財布に決めました。
しぶいブラウンの革の財布です。
ちょうど財布を買い替えたいと思っていたところでしたし、毎日身に着けて使うものですから、一番思い出が残るだろうと考えたのです。

ところで、これはあとからその友達に聞いたのですが、その香典返しについては、ちょっとしたいざこざがあったそうです。
友達と喪主であるお母さんとの間で、親子喧嘩になりかけたというのです。

友達には妹が一人います。
葬儀はその3人が中心になったわけですが、香典返しをどうしようという話になって、お母さんと彼との意見が対立してしまいました。
彼は、亡きお父さんのことを第一に考えて「おやじらしい、心のこもったものを」と考えました。
お母さんは、もらった人のことを一番に考えて「カタログギフトにして、自由に選んでもらおう」と主張。

どちらも正しい、と私は思います。
誰の視点で考えるかというちがいだけで、二人とも香典返しをそれだけ真剣に考えていたのだと思います。
お母さんのほうが合理的で、彼のほうが保守的という見方もできるのかもしれません。

二人の言い争いを聞いていた妹さんが、「二人ともばかみたい。そんなことでケンカして。おとうさんも浮かばれないわ」とひとこと。
この名レフリーのさばきで、結局喪主であるお母さんの意見に従ったのでした。

私は友達に「大正解だよ。うちのおふくろも感心して、『うちでもこれにしよう』なんて言ってた。縁起でもないけどね」と言いますと。
友達も「そうなんだよ。親戚の評判もびっくりするくらいよくてね。結果、正解だったと思ってる。みんなに喜んでもらえれば、おやじもそれが一番なんだからさ」
香典返しという言うことでなく、何かのお礼やお返しのときに、私もカタログギフトを使ってみたいと思っています。

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